情報セキュリティマネジメントの難易度:また取得する意味はない?

会社に在籍していて、基本情報技術者と同等のランクと言われる、情報セキュリティマネジメントが実装されたときは今でも覚えてます。『あまりにも簡単すぎる』企業としても報奨金を設定していたりして、一時金がかなり排出されたんではないでしょうか?私の所属していた会社もそうでした。そのため、資格としての意味がないのでは?だったり、初回の試験があまりにも簡単すぎたため、それを逃した人は受験する意欲が薄れた、といった声が多かった記憶があります。

断言しますけど、明らかに後続取得組の方がその資格に対する知識保有度は高いし、資格の意義が生まれるんではないでしょうか?

そもそも取って恒久的な資格だから、初回の簡単な時に取得しよう、といった心構えも、本来の資格としての意義が薄れてしまいます。

なので、これからを目指す人は意味の無いものである、というのをあまり考えずに、何事も意味があると思って取り組んでください。

意味が無いと言われるポイント(後述してまとめてます。)

  • 初回の資格取得が容易すぎたため。
  • 難易度が高くないのと、職場によっては、国家資格だが軽視されている風潮。
  • 企業目線や個人からの目線で、意味の無いものという意識が植え付けられている可能性。
目次

はじめに

現代のビジネス環境では、情報セキュリティマネジメント(ISMS)が極めて重要です。これは、企業や組織が情報の安全性を確保し、漏えいや改ざんなどのリスクから守るための体系的な管理・運用を意味します​​。情報セキュリティマネジメントを実施することで、情報やシステムの損傷や失われることを防ぎ、修復や回復にかかるコストを削減し、新しいビジネスチャンスやイノベーションを生み出す競争力を強化できます​​。

しかし、一般的には、情報セキュリティマネジメントが複雑で取り組みづらいと誤解されがちです。実際には、組織に適した内容で、組織内のセキュリティレベルを均一に保つことや、リスクの変化に合わせてセキュリティ対策を一括して変更することなどが重要です​​​​。このような情報セキュリティマネジメントの実施は、組織全体のセキュリティ意識の向上や、公共事業への参加を容易にするなどのメリットがあります。

情報セキュリティマネジメントとは?

情報セキュリティマネジメント(Information Security Management System、ISMS)は、組織内で情報セキュリティを確保するための体系的な管理や運用の仕組みです​​。このシステムの目的は、情報の機密性、完全性、そして可用性を維持し、リスクを適切に管理することにあります​​。

ISMSには以下のような主要なコンポーネントが含まれます

  • セキュリティポリシーの策定:組織全体で統一した基準と方向性からセキュリティ対策を行う。
  • 情報の運用管理マニュアルの整備:具体的なセキュリティ対策の手順を明確にする。
  • 従業員の啓発と研修:セキュリティ意識の向上を図る。
  • PDCAサイクルの運用:計画(Plan)、実施(Do)、チェック(Check)、アクト(Act)のサイクルを通じて、セキュリティ対策の継続的な改善を行う​​。

情報セキュリティマネジメントは、次の二つの主要な目的を持っています

  1. 組織の情報を継続的に高いレベルで保護する。
  2. 対外的に組織の信頼性を高める​​。

組織全体でのセキュリティ対策の一括管理により、セキュリティレベルを均一に保ち、リスクの変化に合わせた迅速な対策変更が可能になります。また、情報セキュリティマネジメントシステムの国内規格(JIS Q 27001)を満たすことで、ISMS認証を取得し、組織の信頼性の向上に寄与することもできます​​。

情報セキュリティマネジメントの難易度について

情報セキュリティマネジメント試験の難易度については、試験合格率などから比較的低いとされています。

例えば、令和5年度の月ごとの合格率は70%以上を記録しており、情報処理技術者試験の中では比較的易しい部類に入ります​​。

しかし、これは合格率が高いという点からの判断であり、試験の内容自体が容易であるというわけではありません。

試験内容

情報セキュリティマネジメント試験は、科目Aと科目Bの2科目に分かれています。以前は午前試験では情報セキュリティ全般の基礎知識、午後試験ではより応用的な内容が問われました。

午前試験の範囲には、情報セキュリティ対策や管理方法、関連法規などが含まれ、午後試験では情報資産や委託先の管理、教育や訓練、リスクアセスメントなどが重視されていました。

藤巻

過去問見ましたけど、同じ感じだったんで、そこらへんは変わってないですね。違うところは120分でどっちもやるってことですね。午前とか午後とかもう無いんですね~。

参考…IPA情報セキュリティマネジメント試験について(SG)

令和5年の試験内容を見て思ったこと

おそらく科目Bの試験が、以前までの午後問題に該当すると思うのですが、ちょっとたまたま目についた問題があったので、少しここでお話したいと思います。

これが今までの午後問題における箇所だと思っているのですが、この問題の内容見て、難易度はそんなに高くないんじゃないかなぁ?と思いました。もしかしたらCBTに移行した絡みもあるかもしれませんが・・・。

令和5年の問題

自分が従事していたところでは、日時バックアップ、週次バックアップ、月次バックアップ、全部取ってましたね。あとは遠隔地にバックアップを保管する、疎開というものやってましたね。

こんな感じで実務で、実際にやっているとすぐ分かる問題は結構あったと思います。逆に科目Aの問題は暗記しないと、どうしようもない問題が多いので、科目Aの過去問をやりまくれば、多分受かります。

学習時間

さらに、情報セキュリティマネジメント試験の合格には、適切な学習時間と準備が必要です。独学での受験を考える場合、およそ200時間の勉強時間が目安とされており、特に午後試験の対策が重要です。試験の効率的な対策としては、受験指導校の活用が推奨されており、そこでの学習を通じて、試験のポイントを把握しやすくなります​​。

総括

このように、情報セキュリティマネジメント試験は、合格率の高さによって難易度が低いとされることもありますが、実際にはしっかりとした準備と学習が必要な試験です。試験内容の理解と対策が重要であり、特に午後試験の応用力が試される内容には注意が必要です。

藤巻

実務経験があるなら、多分科目Aの過去問演習だけでいけるはずです。学生さんのうちから取得を目指すのはちょっとハードルが高いかもしれません。

情報セキュリティマネジメントの難易度について藤巻的観点

社会人であればロジカルシンキングをする機会ってめちゃくちゃ多いと思うんですよね。

ロジカルシンキングとは物事に対して要素を分解して、結論と根拠に分けて考える思考方法です。働いていると、問題解決能力が問われるはずです。その際に、問題解決のためにどういったプロセスがあるのか、要素を分解して、道筋を組み立てるといった能力になります。

この試験はロジカルシンキングがしっかり出来ている人であれば、専門知識の必要な科目A試験対策がメインで十分かと思います。

令和5年 情報セキュリティマネジメント 科目A試験問題
令和5年 情報セキュリティマネジメント 科目A試験問題

しっかりと事前知識が無いと答えにくい問題ですよね?

参考書を一度読んだら、後は過去問で十分に対策可能です。予備知識を軽くつけて、後は問題を何度も解いて、知識を付けていく方が、手っ取り早く合格できるはずです。

ちなみにあまり大きな声で言えませんが、藤巻は参考書大して読んでません・・・。ついでに言うと科目B試験(当時における午後試験)の対策は一切していませんでした・・・。

しかし、ふたを開けてみると科目Bより、科目Aの方が点数が低かったわけですね。

繰り返しになりますが、科目B試験は科目Aで出た専門用語が出てくる国語問題に近いと思っていて、ロジカルシンキングがしっかり出来ていれば、難なく答えれるはずです。

不安な方は試しに科目Bの過去問を解いてみて、問題なさそうだなって感じたら特に対策しなくても良いと思います。

というより、本音を言うと、過去問演習で得られるものが少ないと思っていて、その時その時で問題の内容って全然違うので、過去問を何度もやるのでしたら、長文を読解して、読み解いて効率的にこなしていけるってのを練習した方がいいはずです。

個人的な意見ですが、僕の試験対策方法でした。

実際取得する意味はあるのか?

情報セキュリティマネジメントが「意味がない」という誤解が生まれる一因としては、過去の一度の情報漏えい事件などによる長期的な信頼損失や、Webサイトの改ざん、コンピューターの停止、マルウェア感染などの具体的なリスクが明確に認識されていないことが挙げられます。これらのリスクは、個人や企業にとって深刻な影響をもたらす可能性があり、情報セキュリティマネジメントの重要性がしばしば軽視されがちです。

実際のところ、情報セキュリティマネジメントは非常に重要であり、特に現代のデジタル化された社会では欠かせない要素です。情報セキュリティの3要素、すなわち機密性(Confidentiality)、完全性(Integrity)、可用性(Availability)の確保は、企業の情報資産を保護する上で不可欠です。これらは、個人情報の漏洩、Webサイトの改ざん、不正アクセスによるコンピューターの停止など、多岐にわたる脅威から情報を守るために必要な措置です。

さらに、情報ライフサイクル管理(ILM: Information Lifecycle Management)は、情報の生成から廃棄までを監視し、有用性を最適化し、コストを削減するために重要です。これにより、企業は情報やデータをライフサイクル全体にわたって管理する必要があります。

情報セキュリティ対策の4つの領域としては、情報の盗難、改ざん、認証情報の不正使用によるなりすまし、ネットワークの破壊や撹乱(サイバー攻撃)などがあります。これらの脅威は、個人や企業、さらには国家レベルでのリスクをもたらし、適切な対応が求められます。

これらの点を考慮すると、情報セキュリティマネジメントが「意味がない」という誤解は、実際のリスクとその対策の必要性に対する認識の欠如に起因していることがわかります。

適切な情報セキュリティ対策を施すことは、個人や企業がデジタル社会において安全に活動するために不可欠な要素であると言えるでしょう​​​​。

もう一つの『意味ない』について

多分皆様の中には、いやいや資格とって、上記のセキュリティ関連に強くなるのか?とか取得して実務や就職に有利なのか?っていう意見があるかと思います。

実務について

結論から言いますと、取得しただけでは実務への影響は、ほぼないとおもいます。ただ知識として知っておくべきことではあるので、取得する意味は絶対にありますよ。それに企業だと給与に影響する場合が多いかと思います。

報奨金制度等で推奨されているのであれば、積極的に取得を目指していいんじゃないでしょうか?国家資格なので取れば、一生物ですしね。

就職について

新卒の学生であれば就職を有利に進めれると思います。基本的にIT関連の国家資格は、基礎的な部分をちゃんと学習してるという証明になるからです。外資系の企業とか狙うとなると、効果は薄いですが・・・。

情報セキュリティマネジメントは社会人の合格率が圧倒的に多かった記憶があります。それについては、先ほど過去問が実務に起因するものがある、とお話しましたよね?多分そういうことなんでしょうね・・・。

事例と分析: 成功と失敗の事例

成功例

成功事例として、北海道に拠点を置く株式会社HDCは、社員全員にIT教育を義務付けており、「情報セキュリティマネジメント試験」の受験を推奨しています。この取り組みにより、社員の資質向上と顧客への説得力が増し、信頼度向上に繋がったとのことです。

また、秋田県の株式会社ビー・エス・サイトーは、顧客に対するサービス提供のために「情報セキュリティマネジメント試験」で問われる知識が必須と考え、社員全員が合格するようサポートしています​​。

参考…IPA活用例

失敗例

一方で、失敗事例としては、情報セキュリティ対策投資を行わなかった理由として「必要性を感じていない」との回答が多いことが指摘されています。また、被害防止のための組織面・運用面での対策の実施状況に関しては、多くの企業が依然として課題を抱えており、情報セキュリティ対策の必要性や実践に向けた支援の重要性が明らかになっています​​。

参考…IPA実態調査

総括

これらの事例から学べる教訓は、情報セキュリティ対策の重要性を理解し、適切な教育と投資を行うことの大切さです。特に中小企業などでは、限られたリソースの中で効果的なセキュリティ対策を実施する必要があります。また、従業員の意識を高めることが、組織全体のセキュリティ強化に繋がることも重要なポイントです。

まとめ

  1. 情報セキュリティの現実: 現代のデジタル化された社会において、情報セキュリティは絶対的な重要性を持ちます。企業や個人は日々、サイバー攻撃、情報盗難、改ざんなどのリスクに晒されており、これらを防ぐためには適切なセキュリティ対策が必須です​​​​。
  2. 情報セキュリティマネジメントの意義: この分野への投資と努力は、ただ単にリスクを減少させるだけでなく、企業の信頼性とブランド価値を高めることにも繋がります。特に中小企業においては、情報セキュリティ対策への投資がビジネスの持続可能性に直接影響を与える可能性があります​​。
  3. 教育と意識の向上: 情報セキュリティの知識と意識の向上は、企業全体のセキュリティ強化に不可欠です。従業員全員が基本的なセキュリティ知識を持ち、それを日常の業務に活かすことが重要となります​​。
  4. 投資の必要性: 適切な情報セキュリティ対策には投資が必要です。しかし、この投資は長期的なリスクの軽減と企業価値の向上に貢献するため、コストではなく投資として捉えるべきです。

結論として、情報セキュリティマネジメントの難易度はそんなに高くないかもしれませんが、その価値は計り知れないほど大きいです。適切なセキュリティ対策は、単にリスクを軽減するだけでなく、企業の信頼性と競争力を高める重要な要素です。そのためには、組織全体での意識向上と継続的な投資が必要です。

学習効率や過去問について

以下リンクの基本情報技術者試験のページにて解説してます。おそらく類似した学習になるので、そちらを参照いただけますと幸いです。

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