事件の概要
2023年12月20日から21日にかけて、横浜刑務所の受刑者285人が下痢や腹痛などの症状を訴えました。これらの症状は、刑務所内の調理工場で作られた食事による食中毒が原因であることが保健所の調査で明らかになりました。特に、20日に提供された食事が問題の原因と見られています。
ウエルシュ菌
症状を訴えた受刑者の中から6人の便からウエルシュ菌が検出されました。ウエルシュ菌は、食品を介して人に感染し、食中毒を引き起こす菌です。この菌による食中毒は、適切な温度管理が行われていない場合に発生することが多いとされています。
対応策
横浜市保健所は、刑務所内の調理工場の業務を一時停止しました。また、再発防止策が講じられるまでの間、刑務所では食事を弁当で提供することになりました。受刑者の症状はいずれも軽く、ほとんどの人が回復しているとのことです。
今後の予防策
この事態を受けて、横浜市保健所は食事の保管と提供に関して注意を促しています。特に、大量の食事を保管する際には、室温で放置せず、小分けにしてすぐに冷やすことが推奨されています。これにより、ウエルシュ菌のような食中毒原因菌の増殖を防ぐことができます。
ウエルシュ菌について
そもそも私はウェルシュ菌といわれても、具体的にはどういった症状で、どんな場合になりやすいのか？等何も知らなかったので、学習の意味も込めて調べました。
ウエルシュ菌の特徴
ウエルシュ菌は、土壌や水中、人や動物の腸管内などに広く存在する菌です。この菌は熱に強い芽胞を作り、100℃での加熱にも耐えることができます。そのため、通常の加熱調理ではウエルシュ菌を死滅させることは難しいです。ウエルシュ菌は嫌気性菌で、加熱後に酸素が少なくなった環境で増殖しやすくなります。
ウエルシュ菌食中毒の発生原因
ウエルシュ菌による食中毒は、汚染された食肉や野菜などを使用した料理、特にカレーやシチューなどの煮込み料理が原因となりやすいです。これらの料理が大量に調理され、室温で放置されることで、ウエルシュ菌が増殖し食中毒を引き起こします。特に、大量調理を行う飲食店や給食施設などで発生しやすいとされています。
ウエルシュ菌食中毒の症状
ウエルシュ菌食中毒の潜伏期間は6～18時間で、主な症状は腹痛と下痢です。多くの場合、症状は軽度で1～2日で回復しますが、基礎疾患を持つ人、子供、高齢者では重症化することがあります。
予防対策
ウエルシュ菌食中毒の予防には、以下の対策が有効です：
- 食材は十分に洗浄してから使用する。
- 加熱調理前の食材は室温で長時間放置せず、冷蔵庫で保管する。
- 加熱調理後の食品は、小分けにして速やかに10℃以下に冷却し、2時間以内に冷蔵庫へ入れるか、55℃以上で保管し、保存期間を短くする。
- 調理後の食品をできるだけ早く食べる、または小分けにして急速冷却する。
ウエルシュ菌食中毒は、適切な食品取り扱いと保存方法によって防ぐことができます。食品の衛生管理には特に注意が必要です。
実際あった事例等
- 2016年1月、堺市内の高齢者福祉施設で発生した事例です。施設内で提供された食事を摂取した202名の施設利用者のうち、95名が下痢などの食中毒様症状を呈しました。原因食品は「鶏と根菜の煮物」で、食品からウエルシュ菌が検出されました。加熱調理後の適切な温度管理が不足しており、菌が増殖したことが原因でした。…参考国立保健医療科学院
- 2014年12月、沖縄県北部の施設で発生した事例です。修学旅行団体が提供された牛肉オイスター炒めを摂取した後、152名が食中毒の症状を訴えました。こちらも、加熱調理後の不適切な温度管理が原因でウエルシュ菌が増殖し、食中毒が発生しました。…参考国立保健医療科学院
結論
この事件は、食品の安全管理の重要性を改めて浮き彫りにしました。特に、大規模な施設では、食品の取り扱いに細心の注意を払う必要があることが示されています。今後、同様の事故を防ぐためには、食品の保管と提供に関するガイドラインの徹底が不可欠です。
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